カムチャツカ 花のトレッキング
投稿者 西 田 進
掲載日 06-12-10

日本山岳会の「山の自然学研究会」の仲間で、カムチャツカへ花のトレッキングに行きました。 極東ロシアの歴史やカムチャツカ半島の自然に触れることができました。(2006年7月10日〜17日)

GPSで取得した実飛行ルート図
−−− の部分は飛行機の座席の関係でGPSデータが取得できなかった)

GPS(Global Positioning System 全地球測位システム)は、人工衛星から
の電波を受信して、自分の位置(緯度、経度、標高)を知るシステムです

ウラジオストク

ウラジオストク市内には見るべきものが多い。 シベリア鉄道は、帝政ロシア時代にシベリア開発と極東で戦争が起こった場合の軍隊の輸送を目的に、1875年に建設が開始され、1903年に全通した。 当時、明治の元老達や夏目漱石など多くの日本人がシベリア鉄道で訪欧した。

シベリア鉄道のウラジオストク中央駅の駅舎全景

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革命戦士広場の自由市場
長い行列なので、何を売っているか調べてみると---
鶏肉の安売りのようだ
ロシアの日常生活を垣間見た気がした



アヴァチャBC(ベースキャンプ)

カムチャツカの州都ペトロパヴロフスク・カムチャツキーのホテルから6輪駆動車でアヴァチャBCへ行き、登山と植物観察をする

3時間弱の走行で、目的地アヴァチャBC(標高888m)に着く

アヴァチャBC、ラクダ山、アヴァチャ山2000m台地のGPS軌跡
アヴァチャ山は登頂できず

BCに着いてすぐ、足慣らしにラクダ山(1234m)に登る

翌日はいよいよアヴァチャ山(2751m)登頂の日である。 2000m台地
(2077m)に着くと、目前に目指すアヴァチャ山頂が見える。 ここから
標高差674mは雪が深く傾斜もきつい。 我々の装備と体力を考慮して、登頂は諦めることにする。

ようやく顔を出した隣のコリャーク山(3456m)を背景に記念写真



バチカゼツ高原

標高500m程のバチカゼツ高原は、尾瀬と知床連山を一緒にしたようなところである。 火山の山並みあり、湿生植物ありで、日本人には馴染みやすい。

尾瀬と知床を一緒にしたようなコース

かつて北方に住んでいた植物達は、寒い氷河期になると少しでも温かい日本に移動して来た。 2万年前の最終氷期が終って再び温かくなると、あるものは北へ移動し、北海道・千島を経てカムチャツカに戻った。 一部のものは涼しさを求めて日本の山に登った。 これが今日の「日本の高山植物」である。 したがって、カムチャツカには日本の高山植物の近縁種が多い。

カムチャツカで見た約70種類の高山植物の中から、いくつかを紹介しよう。
植物観察にはロシアの植物学者が同行してくれた。

カムチャツカ半島・極地に因んだ名の花

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ミヤマイ
基準標本はカムチャッカ
アヴァチャスカヤスミレ
カムチャッカ固有種か
キョクチブナ
ナンキョクブナのことか

千島列島に因んだ名の花

A A
チシマゼキショウ チシマツガザクラ チシマクモマグサ

A A
チシママンテマ チシマフウロ チシマツメクサ

A A
チシマヒョウタンボク シコタンハコベ ウルップソウ

蝦夷・北海道に因んだ名の花

A A
エゾルリムラサキ エゾコザクラ エゾノゴゼンタチバナ

A A
エゾツツジ エゾバイケイソウ エゾノツガザクラ

A A
エゾオヤマノエンドウ レブンサイコ リシリヒナゲシ

日本では珍しくなった花

A A
キバナアツモリソウ  クロユリ チョウノスケソウ 
ロシアの植物学者マキシモウィッチの助手を務めた須川長之助が発見したことに因んで、牧野富太郎が名付けたことは日本では有名な話であるが、ロシアではあまり知られてないようだった

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「農夫の家」を訪問し、ウオツカと山菜料理を頂いた。スモーク・サーモンができる間、皆でロシア民謡を歌う
ブロードバンドの方は、左上の写真をクリックして、しばらくお待ち下さい。 ビデオをご覧になれます



ロドニコバヤBC(ベースキャンプ)

カムチャツカの州都ペトロパヴロフスク・カムチャツキーから南方にあるロドニコバヤBCに、やはり6輪駆動車で出かける。 ここには露天温泉もあるという。

ホテルからロドニコヴァヤBCへのGPS軌跡

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積雪が多いため6輪駆動車が
登れず、雪上登山となる
ロドニコヴァヤBCのロッジ群
トレキングから帰って露天温泉を楽しんだ

氷河と火山の国 カムチャツカに相応しい風景
右のビリチンスキー山と左の山の間の谷は明らかに氷河によるU字谷である。 両側が比較的新しい火山で、氷河期以降に噴火があったとすると、火山噴出物の下にモレーンなどの氷河の痕跡があるかもしれない。

キバナシャクナゲ

ロドニコヴァヤBCを出発する日の夜明け

カムチャツカの山々よ  さようなら! До свидания!

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